シミやそばかすの原因となる嫌われ物のメラニン色素が、実際はどんなな働きをしているのかご存知でしょうか。
紫外線に当たるとシミができてしまう原因となるので厄介者扱いされやすいですが、実は肌から紫外線を守るために大切な役割をしているのです。
では、メラニン色素とはそもそもどんなものであるのか、そしてその働きについて考えてみましょう。
表皮は、もっとも外側に近い角質層、顆粒層、有棘層、基底層の構造で作られており、その下には真皮が存在します。
そして真皮に近い基底層にはメラノサイトという色素細胞がありますが、表皮が紫外線によって刺激を受けるとまずケラチノサイトという物質を刺激してプラスミンと呼ばれるメラノサイト活性因子がメラノサイトに対してメラニン生成の信号を送ります。
そして、メラニンの原料となるチロシンという物質がチロシナーゼというメラノサイトだけに存在している酵素が働くことでメラニン色素が作られます。
一旦生成されたメラニン色素はメラノサイトの中に蓄積されますが、細胞内がメラニンでいっぱいになってしまうとメラノサイトよりさらに表皮に近い場所にある毛拉致のサイトという場所に移動します。
ケラチノサイトに移動したメラニンは、紫外線から細胞核を守る役目をすることで肌を紫外線の刺激から守ろうとしているのです。
つまり、メラニンが生成されるメカニズムは正常の防御機能であるとも言えます。
しかし、本来正常の防御機能であるメラニンの生成がシミとなることで嫌われる原因はどこにあるのでしょうか。
それは、肌の代謝機能であるターンオーバーが関係していると言えます。
ターンオーバーというのは、ニキビや吹き出物、あるいは傷がついた場合には修復する働きをしたり古い細胞から新しい細胞へと生まれ変わらせる働きのことですが、基底層にある古い細胞がどんどん表皮側へと押し上げられていくことで垢として表皮の外側に排出されその代わり古い細胞があったところには新しい細胞が定着するようになります。
この流れのことをターンオーバーと呼び、28日周期でそのサイクルが行われているのです。
メラニンも、このターンオーバーが行われる際に一緒に表皮側へと押し上げられて体外へと排出されるために、夏場に小麦色に日焼けしたとしても秋ごろになるとまた以前のように色素の薄い肌へと生まれ変わることができるとされています。
ただ、紫外線を極端にたくさん浴び過ぎることでメラノサイト自体の量が増えてしまいその分メラニンをたくさん増やしてしまうことにつながります。
正常にターンオーバーが働いているのであれば問題ないのですが、必要以上にメラニンを生成したしまったこととストレスが刺激、あるいは加齢によってターンオーバー機能が遅れたり低下することにより生成し過ぎてしまったメラニンをすべて排出することができずにその場にとどまってしまうことでシミとして定着してしまうのです。
また、紫外線による刺激を受けていなくてもメラニンがたくさんし生成される時期というのがあります。
妊娠時というのは、色素細胞刺激ホルモンが過剰に分泌されることによってメラノサイトが刺激されてメラニンを過剰に生成してしまい乳首や下腹部などに色素沈着が残る場合があります。
ただ、この場合は出産が終わって色素細胞刺激ホルモンの分泌が正常になればターンオーバーとともにメラニンも排出されていきますが、加齢によってターンオーバーの働きが悪くなっていたり遅れたりしているとその場所に色素沈着として残ってしまうことがありますので注意が必要と言えるでしょう。
メラニンそのものは肌を守る役割をしているのですが、様々なことが重なって結果的に色素沈着やシミを起こすことがあるので嫌われてしまうことが多いと言えます。
では、メラニンを過剰に生成させずにシミやそばかすなどを作らないようにするためにはどうすればよいのでしょうか。
まず、紫外線になるべく当たらないように対策を行うことでは大切なこととなります。
特に年を取ってからの日焼けはターンオーバー機能が若い頃のように正常に働かなくなることが考えられますので、そのまま以前の肌に戻ることがなくシミやそばかすとして残ってしまったりひどく乾燥してしまうことが考えられます。
外出するときはしっかりと日焼け止めを塗って帽子やサングラス、UVカットが可能な衣服などで出かけるように心がけることがメラニンの過剰な生成を防ぎシミやそばかすを作りにくくすることにもつながるのです。
その他には、ターンオーバーの機能が正常に働くように生活習慣を見直すことも大事になってきます。
不規則な生活や偏った食生活、喫煙やアルコールの多量摂取、睡眠不足などはターンオーバーが崩れる原因となります。
肌に刺激や摩擦を与えないことでメラノサイトへの刺激を防ぎ、生活習慣の改善を行うことでターンオーバーが正常に働きメラニンを生成しても十分に排出してシミやそばかすを作らなようにすることにつながると言えるでしょう。
日常生活の中で少し意識するだけでも違いますので、まずは自分のできることから始めてみてはいかがでしょうか。
