人工妊娠中絶の基礎知識

教育

わが国では、1年間に16万件以上の人工妊娠中絶手術が行われているとされています(2019年の報告による)。
そのような選択をするに至った事情はさまざまですが、母体への負担が決して軽くはない処置ですし、倫理的な面からの議論もあります。
安易に選択して後悔することのないよう、あらかじめ正しい知識を身につけておく必要があります。

人工妊娠中絶とは

人工妊娠中絶とは、妊娠中の女性の身体の中から胎児を生命維持させないかたちで人工的に取り出す行為をいいます。
わが国では母体保護法という法律によって条件が定められており、これに合致しない場合は違法行為として罰せられます。
また、母体保護法指定医の資格を持たない医師が処置を行った場合も違法となります。
具体的な条件は、まず2つあります。
1つは、妊娠の継続または分娩が母体の健康に危険をもたらしそうな場合または経済上の理由がある場合、そしてもう1つは暴行もしくは脅迫によって性交を抵抗・拒絶することができなかった結果妊娠してしまった場合です。
近年では、子供を産み育てていくことが経済的に困難なため中絶を選択する人が多いと言われています。
さらにもう1つ、時期についても条件があります。
処置ができるのは妊娠22週未満(妊娠21週と6日)まで、と同じく母体保護法によって定められています。
また、妊娠12週を超えて処置を行った場合は、死産の届出が必要となります。

 

処置方法

処置方法にはいくつかの種類がありますが、妊娠の比較的初期(12週未満)では、掻爬法または吸引法と呼ばれる手法がよく用いられます。
このうち前者では、特殊な器具を子宮内に挿入し、内容を掻き出します。
一方、後者では器械を使って内容を吸い出します。
処置に要する時間は10分から20分程度で、体調に問題がなければ日帰り手術が可能です。
妊娠12週以降になると、子宮収縮剤という薬剤を用いて人工的に陣痛を起こし、流産させる手法が採用されます。
母体への負担がかなり大きくなるため、通常は数日程度の入院が必要になります。
術後は市区町村に死産届を提出し、胎児の埋葬許可証を交付してもらう必要があります。

 

本人が未成年の場合は保護者の同意が必要

処置を受ける際は、書面による同意が求められます。
通常は医師側が用意した同意書の内容を確認したうえで署名し、身元確認書類と一緒に提出します。
署名は本人及びパートナーの両方が行うこととされていますが、パートナーと連絡が取れなくなってしまったなどの事情がある時は、本人のみの署名で良いとされています。
また、本人が未成年の場合は保護者の同意が必要です。

 

神戸中絶より引用

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